豪雨の夜、
四十代後半とおぼしき男が
『Bar Pivot』を訪れた。
物流会社を営むその男は、
残業と休日出勤が続く日々に
頭を抱えていた。
マスターは注文を受け、静かにステアを始める。
乱さず、急がず、何周も。
ばらばらだった液体が、
少しずつひとつに整っていく。
できあがった酒を一口飲んでから、
男は悩みを打ち明けた。
「どうしたら生産性を上げられると思う?」
マスターが現場の動かし方を尋ねると、
男は胸を張って答えた。
「基本的に俺が指示を出してるよ。
どれを先にやって、どれを後でやるか。
長年やってるから、感覚でわかるんだ」
「勘」で現場を回していると自負する社長。
その言葉を聞いたマスターは、
静かに口を開いた――。
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