【Bar Pivot】「誰からも愛される店」を目指した男の結末

冷たい雨の降る夜、

『Bar Pivot』の重い木の扉が、

音もなく開いた。

カウベルは鳴らなかったはず。

だが、気づけばカウンターの一番奥、

闇に溶け込むような場所に、

一人の男が座っていた。

「……30年続いた洋食屋を、畳みましてね」

盆と正月以外は休まず、

客の要望すべてに応えていたらしい。

「誰からも愛される店を目指し、

 あんなに尽くしたのに、なぜ…」

報われなかった日々を哀しむ男に、

マスターは静かに口を開いた。

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